教育経済学者が書いた本『学力の経済学』(中室牧子 著)から【子どもへの教育】について学んだこと

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子育てをしてうまくいかないことがあると

子どもにとって、いい方法とはどうすることだろう?

と判断に迷うことはありませんか?

私もその度に、考え、行動して、上手くいかない時はその繰り返しです。

そして、その判断が自分のせまい経験や知識に偏らないよう、育児書や心理学書など様々な本を読んできました

そういった本の中に、自分にとって育児の大きな指針となり読み返す本が何冊かあります。

今回は、その中で読み返す頻度が一番高い「学力の経済学」をご紹介します。

「学力」の経済学/中室牧子
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なぜ『学力の経済学』が悩みを解決するのか

それまで読んできた子育てに関する書物は、独自の教育法を提唱する教育者、有名大学に子どもが進学した保護者など、実践した内容と結果から大変説得力がありました。

そして、その言葉で知識や視野が広まり、子育てする気持ちをサポートしてくれました。

しかし、この本の著者はそういったことについて一刀両断しています。

もちろん、「子育てに成功したお母さんの話を聞きたい」という欲求自体に問題があるわけではありません。しかし、どこかの誰かが子育てに成功したからといって、同じことをしたら自分の子どもも同じように成功するという保証は、どこにもありません。
(中略)
子どもの成功にはあまりにも多くの要因が影響しているからです。」

中室牧子 著『学力の経済学』 P.15

確かに、子どもの成功の背景には、経済力、生活圏、家族関係など語りつくせないほどの家庭環境が複雑な要因として絡み合っています。

著者は、親でもなく教員のキャリアも短いです。

しかし、教育について周囲から意見を求められます。

それは、データに基づき経済学的に教育を分析する専門家だからです。

日本では、データを収集することに対して受け入れられにくい背景から分析する情報が少なく、教育政策に科学的根拠が用いられることがありません

しかし、様々な研究データがあるアメリカでは20年ほど前から、教育政策に科学的根拠を示すことが必要となりました

その研究の研究課題、データ量、検証期間は科学的根拠を示すのに十分なことは、読み進めて行くうちに明らになります。

学習とご褒美の関係

みなさんは、学習にたいしてご褒美をあげることに賛成ですか?反対ですか?

このご褒美については、研究データと結果をもとにわかりやすく解説しています。

テストの点数があがるとご褒美がもらえる
練習問題を解くとご褒美がもらえる

この場合、どちらのご褒美で学力テストの結果がよくなるでしょうか?

結果は、 「練習問題を解くとご褒美がもらえる」 方がテストの結果がよくなる、でした。

この場合、「練習問題を解く」はインプット「テストの点があがる」はアウトプットとなります。

他にも「本を読む」などインプットにご褒美を用意することは効果がある結果となったそうです。

著書には書かれていませんが、私は

テストの点があがる」ことは「漠然とした内容

練習問題を解く」は「具体的」であり、「過程」である

ということも関係しているのではないかとも考え、子どもの学習にご褒美を取り入れています。

人生において勉強より大切な非認知能力

幼児教育を受けることによって3歳から8歳まで、IQや学力テストで評価される認知能力は高まりますが、それ以降は失われるそうです。

しかし、幼児教育は、その後の「自制心」や「やり抜く力」といった非認知能力は長期的に育ち、学歴や仕事などで高い力を発揮するそうです。

また、著者が学力より大切だと評価している非認知能力は、幼児教育だけではありません。

非認知能力を鍛える手段として、部活動や課外活動にも注目が集まっています。他にも、高校生が高齢者にコンピュータの使い方を教えるという社会奉仕活動のように、教室で学んだことを地域社会で問題解決のために生かすような教育や、アウトドア活動なども有効であるといわれています。

中室牧子 著『学力の経済学』 P.98

つい目の前の学力にとらわれがちな視点から、学力以外の成長も見落とさないようにしたいものです。

教育の質をあげるには

また、日本の学校教育についても費用効果の観点などから、効果的な教育について分析されています。

少人数制以上に大切なことは教師の質を上げることだと述べ、その方法についても言及しています。


教員になることの魅力を高めれば、より優秀な人が教員を志望してくれる可能性があることを意味しています。
 このような状況下で、なるべく能力の高い人に教員になってもらうにはどうしたらいいのでしょうか。経済学者に聞けば真っ先に提案されるであろうシンプルな方法は、教員になるための参入障壁をなるべく低くする、つまり教員免許制度をなくしてしまうということです。
 なぜなら、免許という参入障壁が、能力の高い人が教員になったり、あるいは他の職業で活躍してきた人が教員に転職するのを妨げている可能性があるからです。

中室牧子 著『学力の経済学』 P.154、155

そして教員免許をもっているかどうかが学力に与える影響は非常に小さい研究結果を示しています。

まとめ

この本を読んだことで、今まで5年間子ども達への教育について考える時、灯台の明かりが照らしてくれるように判断が楽になりました。

もちろん、ひとりひとりの個性が完全にデータに当てはまるわけではなく、さじ加減が大事になります。

しかし、様々な長期的な研究結果を見ることで、目先のことにとらわれにくい思考をすることができるようになりました。

学習面の子育てについて悩んでいる方には、とてもおすすめの一冊です。

「学力」の経済学/中室牧子
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